RAILROAD MODEL DIORAMA REPAIR
今回はめずらしいご注文です。
ある企業の会長様が生前、趣味でお作りになって遊ばれていた鉄道模型のジオラマ。お亡くなりなったそのあとも企業様で大切に保管・展示しておりましたがこの度、保管されていた建物の改築に伴い一旦別の場所に移動したい、そして今後の移動や保管のためにもある程度サイズを縮小したいとのご要望です。ということでひとまずトラックに乗るサイズに切断し自社まで持ち帰ることにします。
一つ目のハードルは「運び出し」です。鉄道模型をやっている方ならわかると思いますが、広げられるスペースがあればどんどん広げていってしまうモノ。この作品も例外ではなく幾度かのタイミングで増築増築を繰り返していたようです。こんなにも大きなものを運び出すにはまずは切断せねばなりませんが、照明配線なども縦横無尽に広がっていますので大変です。模型に直接のこぎりをいれて最終的にはタタミ5枚ほどの大きさに分け、2tトラックで運び出しに成功。変なところで持ってしまうと真っ二つに割れてしまいそうな、そして傾けでもしたら今にも駅舎などが落ちてきそうな大変デリケートな運搬。自分たちでお作りしたものは自信をもって運搬できますが、今回はそうではないのでヒヤヒヤ。
2つ目のハードルは「レイアウト」。不要になったエリアからカーブレールとストラクチャー類を拝借し、もともとはつながっていなかった線路たちをショートカットさせ、あたかも最初からそうなっていたかのような自然な町の仕上がりを目指しご要望のサイズ内にまとめていきます。この段階になると子供のころNゲージで遊んでいた私もワクワクで、他の物件の担当のくせに毎日野次馬化。
あとは不安定なプラ製の束は排除し、移動もしやすいキャスター付きのアルミフレームを装備。余った資材の中から運転台も製作し設置。配線も一からすべて引き直し、今後再びバラして搬入することも考慮し何がどこの線なのかキャプションのシールもつけておきます。このあたりの目に見えない部分の完成度を高めておいて搬入日にスムーズに作業するのがプロの仕事!
鉄道模型に限らず博物館や資料館のあらゆる展示物や、壊れてしまった模型などの改修・補修などぜひ一度ご相談ください。
Scale : 1/150