KONGOUSHO
ー金剛鐘(カリヨン)とはー
椙山女学園創設者椙山正弌様が米国視察の際に出会ったカリヨンを本学園でも響かせたいと願い、英国に発注し1931(昭和6)年に設置されました。演奏した曲が小学校唱歌「金剛石」であったことから、「金剛鐘」という名がつけられました。
椙山女学園中学校・高等学校の金剛塔に設置されており、毎朝生徒によって奏でられる「金剛石」の歌のメロディーを生徒全員が傾聴する姿は、学園の伝統となっています。
鐘は戦時中に金属類回収令によって軍部から強く供出をせまられましたが難を切り抜け、現在まで学園のシンボルとして活躍し続けています。国内のカリヨンとしては最古の部類であり、このようなカリヨンの存在は世界でも珍しいといわれています。
この展示物は椙山女学園様のエントランススペースに設置するためのディスプレイ模型になります。歪な展示スペースの中で見学者の導線を確保しつつ、それでいて華やかで説得力のある展示物を目指し、お客様と打ち合せや現地調査を何度も行い製作いたしました。
一番奥から「1/1スケールの鐘のレプリカ」、中央には「旧校舎金剛塔の写真と鐘の説明」、手前には「1/5スケールの金剛塔の断面と鐘を演奏する女学生の模型」の3つの要素からなり、展示物に近づきますと人感センサーにて自動で照明が点き、「金剛石」のメロディーが優しく流れます。
■「1/1スケールの鐘のレプリカ」
本物の鐘は鉄製でかなりの重量があり運搬や展示が困難ですので、今回はFRP樹脂にて製作いたしました。みなさんご存知のペコちゃんや薬局のカエルなどと同じ素材です。ペコちゃんやカエルのように光沢を出してしまうとおもちゃのようになってしまいますが、その樹脂の表面に鉄の風合いを塗装で再現することで、長い時間を経た歴史や鉄の重厚感を感じていただけます。
鐘の下部のアクリルパイプ内にスポットライトとミラーを設置しておりますので鐘の内部の仕組みが見やすくなっています。
■「旧校舎金剛塔の写真と鐘の説明」
横幅2400mm・高さ1800mmの大変大きな盤面が垂直に立ち上がることで、この展示スペースに圧迫感が出てしまうことを避けるため透明の素材であるガラスを選択しました。鐘や塔などの重みを感じる展示物の中で、透明感のあるガラスは「抜け」がありさわやかで、高級感も感じさせてくれます。
■「1/5スケールの金剛塔の断面と鐘を演奏する女学生の模型」
この展示スペースには夕方の時間帯にガラス越しではあるが直射日光が当たるため、塔の躯体はすべてABS樹脂で製作いたしました。また10コ並んだ鐘の模型は3Dプリンターで出力し、それらにも対候性の高い塗料で塗装を施しました。
鐘の真下には演奏台で鍵盤を押す女学生とそのわきで手拍子で調子をとる女学生を配置しました。女学生たちに着せた制服は椙山女学園高等学校のものを参考に一から手縫いをしたものです。写真には写っていませんが、校章にバッチやリボンも本物そっくりなんですよ。
人形の髪の毛が校則違反の長さとの指摘もあり、ヘアカットなんかもしたりしました・笑